彼女は僕よりも強くてやさしい
彼女は、僕よりも強くて優しい。
どうしようもなく辛い時、僕は人に助けてもらわないと立ち直れない。
そしてそんな時、一番に助けて欲しい人は、やはり恋人である。しかし彼女は遠距離で社会人。当然、僕を助けられるわけがない。だから僕は、1人で彼女の名前を呼んでみたり、彼女の写真を眺めてみたりして、ぐらぐら煮えた苦しみを誤魔化してきた。
この間の土日で、彼女が僕の家に泊まりに来ていた。
土曜日に苦しいことがあった。帰宅した僕はいつも通りなんとか誤魔化そうとして、彼女の名前を呟く。そして気付いた。
今日は誤魔化す必要が無い、本物が帰ってくるのだから!
僕は本当に嬉しかった。人生で初めて、慰めて欲しいな、と思ったその時に彼女が居合わせるのだ。嬉しい。語彙力不足が悲しくなるくらい嬉しかった。
僕は帰ってきた彼女に、弱音を吐いた。
彼女は僕の目をまっすぐ見て、
「がんばれ。がんばるしかないよ。」
と言った。
期待してたものと違う。慰めが欲しかった。そう思いながら見つめ返すと、彼女はやはり、
「がんばるの。がんばるしかないんだよ。」
と言う。
これで投げやりな回答だと思うかもしれない。
でも、僕はそれを、彼女の強さだと思った。
本当にどうしようもないことは、「辛かったね」、なんて甘やかしてくれる。
でも今回はどうやら違うらしい。僕が「がんばるしかない」。確かにそうだった。
がんばるしかない。彼女は本当に、僕のことを大切に思ってくれている。
僕は、そう思った。
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前に書いたデータ、寝落ちで消えたと思ったら残ってました。
バックアップ機能ってすごい(小並感)